冊子印刷製本について、無線綴じとあじろ綴じは、いずれも接着剤を用いてページを綴じる製本方法ですが、その構造や特性には明確な違いがあります。本記事では、両者の特徴、メリット・デメリット、適した用途について詳しく解説します。
無線綴じは、針金や糸を使用せず、接着剤でページを綴じる製本方法です。印刷された本文の背部分をミーリングカッターで削り、接着剤を塗布して固め、表紙で包みます。このため、背表紙に針金や糸が見えないことから「無線綴じ」と呼ばれます。
写真1:ミーリングした本の背中
写真2:ミーリングカッター(BQ-500)
あじろ綴じは、無線綴じを改良し、より強度と耐久性を高めた製本方法です。無線綴じがミーリング加工で各ページをバラバラにして接着するのに対し、あじろ綴じは折丁(折りたたんだページ束)を使用し、背部分に小さなミシン目状のスリット(あじろ)を入れます。このスリットに接着剤が浸透することで、各ページがしっかりと繋がり、強度が増します。頻繁に使用される冊子や長期保存が必要な資料に最適です。
たとえば、16ページの折丁では、4枚の紙が1つの束となり、この背部分にスリットを入れることで接着剤が深く浸透し、ページが外れにくくなるよう工夫されています。
あじろ綴じは、このように折丁とスリット加工によって接着剤が深く浸透し、強固に固定されるため、長期間使用されてもページの抜け落ちが起きにくい製本方法です。
印刷方式 | 製本方法 | 製品ジャンル |
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デジタルプリント | 無線綴じ | 写真集やフルカラーのカタログ |
報告書・計画書などモノクロ冊子 | ||
漫画やコミック | ||
オフセット印刷 | あじろ綴じ | カタログ・写真集 |
見返しがある冊子 | ||
全面ベタや頻繁に開閉する冊子 | ||
耐久性が必要で長期間使用する冊子 | ||
無線綴じ | 報告書・計画書などモノクロ冊子 | |
印刷用紙 | 製本方法 | 説 明 |
コート マットコート |
あじろ綴じ | 表面が滑らかなため接着剤が浸透しにくいため、無線綴じよりもあじろ綴じが適しています。 |
上質紙・ラフ紙 | 無線綴じ | コーティングされていない用紙には無線綴じが適しています。 |
この表は、無線綴じとあじろ綴じの選択が、印刷方式や製品ジャンル、さらには冊子の用途や使用頻度によって異なることを示しています。デジタルプリントでは無線綴じが主流で、オフセット印刷では耐久性や使用目的に応じて無線綴じとあじろ綴じが使い分けられます。
さらに、用紙の種類も製本方法の選択に影響を与えます。コート紙やマットコート紙のように表面が滑らかな紙は、接着剤が浸透しにくいため、無線綴じよりもあじろ綴じが適しています。一方、上質紙やラフ紙のようなコーティングされていない用紙には、無線綴じが適しており、コスト面や仕上がりの面でも効率的です。
無線綴じ・あじろ綴じは「並製本」と呼ばれ、糊で本文と表紙を接着して本にする製本方法です。丈夫で品質の高い製品にするためには、糊がしっかりと浸透し、接着が強固であることが重要です。せっかく製本しても、すぐに壊れてしまう本では品質的にNGとなります。ここでは、そんなトラブルを防ぎ、耐久性の高い製本を作るための方法について説明します。
今回は、糊が接着しやすい環境を作る方法や、印刷物をどのように準備すれば良いかに焦点を当てています。糊がしっかりつかなければ丈夫な本にはならないため、適切な接着を実現するポイントを解説します。
無線綴じやあじろ綴じの製本では、表紙データの作成時に以下の点に注意することが重要です。
紙の表面にインキが塗布されている部分は、接着剤の浸透を妨げ、接着強度が低下する可能性があります。そのため、表紙と本文が接着される部分(背部分や表2・表3の接着箇所)には、インキを避けて白く抜く「白抜き処理」を施すことが推奨されます。これにより、接着剤が紙に直接浸透し、強固な接着が可能となります。
適切な白抜き処理を行うことで、製本の耐久性が向上し、ページの脱落や剥がれを防ぐことができます。製本の品質を高めるために、これらのポイントを押さえて表紙データを作成しましょう。
これらの処理を行わないと、表紙と本文の接着部分が剥がれやすくなり、製本の品質が低下する可能性があります。確実に白抜きを施し、強固な接着を実現しましょう。
写真6:背部分の白抜き処理をした表紙(表2-3)
写真7:白抜き処理の拡大図
写真8:最初の折(表2側の絵柄を3㎜逃がします)
写真9:最終の折(表3側の絵柄を3㎜逃がします)
無線綴じ製本では、ミーリング加工を行う際に、背の部分を約3mm削ります。この削られる部分にはインクが乗らないよう、白く抜いておくことが重要です。さらに、削られる3mmに加えて0.5mmの余白を設け、合計3.5mmを白く抜くことをおすすめします。この余白がないと、インクと糊が反発し、接着が弱くなる可能性があります。したがって、背の部分にインクがかからないよう、適切な余白を確保することが、製本の品質向上につながります。
写真10:ミーリングの余白を付けた面付け(全体画像)
写真11:ミーリングドブ拡大画像
あじろ綴じでは、ミーリング加工を行わないため、ノド部分の余白(ドブ)は不要です。しかし、背部分にスリット(ミシン目)を入れ、そこから接着剤を浸透させるため、スリット部分にインクが乗っていると接着が弱くなる可能性があります。そのため、弊社ではスリット部分に左右各0.5mm、合計1mmの白抜きを設けています。これにより、インクと接着剤の反発を防ぎ、強度の高い製本が可能となります。
この処理は特に全面ベタが多いコート紙などで重要です。この処理を忘れてしまうと、製本後に接着剤が十分に浸透せず、ページが簡単に外れてしまうトラブルが発生する可能性があります。そのため、確実に行うべき非常に重要な工程です。
写真12:1㎜の白抜きを付けた面付け(全体画像)
写真13:1㎜の白抜き拡大画像
無線綴じとあじろ綴じ、それぞれの製本方法の特徴や適した用途について理解することで、目的に合った最適な製本が可能になります。また、製本の品質を保つためには、インキと接着剤の相性を考慮した白抜き処理や、背糊・横糊を適切に処理することが重要です。
無線綴じでは、ミーリング加工と余白を確保し、あじろ綴じではスリット部分に白抜き処理を行い、インキがかからないようにすることで、接着剤の浸透性と強度を高められます。さらに、使用する紙の種類や印刷方式を考慮することで、長持ちする製本が実現できます。
スバルグラフィックでは、お客様の製品に最適な製本方法をご提案し、品質向上をサポートいたします。製本はすべて自社工場で行い、印刷から折り、綴じまでの全工程を一貫して自社で管理するため、高い品質を保証いたします。
無線綴じは、EVA糊やPUR糊に対応したBQ-500で、あじろ綴じはEVA糊専用のCABS4000を用いて製本しています。このように充実した製本設備により、製品に合わせた適切なデータ処理や仕上げが可能です。デザインデータをご入稿いただくだけで、当社が面倒な処理をすべて対応いたしますのでご安心ください。
高品質な印刷と製本サービスを通じて、お客様のご期待に応える製品づくりをお手伝いいたします。ぜひ、いつでもお気軽にご利用ください