こんにちは、スバルグラフィックのMIYUです。 今回から4回に分けて、キンアカという色の話を書きます。
先に言っておくと、失敗した話です。私が。
お客様から増刷の依頼を受けました。前回はオフセット印刷。
指定はBkとキンアカの2色です。前回の見本もお預かりしました。
20部の増刷、20冊と聞いた時点で条件反射的にPODを選択します。
データを開いてみました。 DIC159とBkの2チャンネルで作られています。
キンアカはDIC159で指定されていました。
PODでプロセスカラー印刷するには、DIC159をCMYK数値に置き換えます。
イラレのスウォッチからSpotカラーのDIC159を選び、DICのカラーガイド情報検索サイトに載っているCMYK値に変換しました。
C:0 M:86 Y:90 K:0
キンアカってオレンジっぽい色だよなあ。ぼんやりそう思っていた私からすると、そんなに遠くない数字でした。この値で刷れば出ると思っていました。
プリントしてくれたのは、オペレーターのムラケンさんです。
その試し刷りを持って来ました。「前回の見本と違いすぎる」と。
並べて比べてみました。
違う。 沈んでいる。くすんでいる。
前回オフセット印刷のキンアカははっきり鮮やかで、試し刷りの赤はその手前で止まっていて薄い。並べなくても分かるくらい違いました。
念のため、M100Y100でもプリントしましたが、結果は 同じ。こちらもくすんでいました。
数値をどう振っても、あの赤になりません。
DIC-159オリジナル
C:0 M:86 Y:90 K:0
キャリア30年のベテラン営業マンのハリソンさんに相談しました。
分からないことはこの人に聞けばだいたい解決します。
「PODだとキンアカって出ないんですか」
返ってきた答えは、私が聞いたことと角度が違う。
「PODで出ないんじゃないよ。CMYKのプロセスカラーでキンアカが出ないってこと」
オフセットでもPODでも、CMYKはCMYKです。
カラーマネジメントしていれば、ほぼ同じ色がプリントできます。
Print方法の問題ではありませんでした。
「そもそもキンアカは特色だから。FG28使うのがお約束だし、定番だよ」
キンアカの指定なのに、プロセスの掛け合わせで刷る。その選択そのものが間違っていた、ということです。
DIC159という番号をCMYKの数値に置き換えた時点で、私はキンアカをキンアカではないものにすり替えていました。
ここからは私の質問攻めです。
「FG28って何ですか」
「DICの中間色」
「中間色って何ですか」
「いろんな特色を作るときの、ベースになるインキだよ」
特色は1色ずつ独立して存在しているものだと思っていました。そうではないそうです。ベースになるインキがあって、それを組み合わせて特色ができている。
キンアカは、そのベース側にいる色でした。
FG27、FG28、FG29という3本のインキ。DIC156から159、564B、565、565Bとの関係。配合表の数字を全部出して、どれが単色で、どれが調色なのかをはっきりさせます。
検索しても出てこないところまで書きます。
MIYUのひとこと
DICさんが出してる数字なら間違いない。私はそう思っていました。
メーカーの公式サイトに載っているCMYK値。その数字で刷れば同じ色になる。誰もそんなことは言っていないのに、勝手にそう受け取っていました。
あの数字は、特色をCMYKに置き換えたものであって、特色そのものではありませんでした。
数字が出てくると、それだけで正解に見えてしまう。
今回いちばん教訓になったのは、そこです。