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冊子のキズ問題を解決する効果的な対策

製本工程で冊子の表紙にキズが入ってしまう問題。とても困りますよね。冊子のイメージを損なうだけでなく、品質クレームにもつながる重要な課題です。実は、製本機では、表紙がローラーやベルトに接触することでキズや擦れが発生しやすい構造になっているのです。この問題を防ぐには、製本前の適切な対策が欠かせません。また、デザインによってキズが目立ちやすい場合とそうでない場合があります。特に注意が必要なデザインには、事前の工夫が大切です。本記事では、キズに強いデザインの特徴と、具体的な解決策を2つご紹介します。

表紙のキズや擦れを防ぐために必要な事前の準備

印象的なデザインは製品の魅力を引き立てますが、その表紙にキズが入ると、製本物全体の印象が損なわれてしまいます。特に、キズが目立ちやすいデザインかどうかを見極めることが重要です。製本工程で問題が起きる前に、デザインの段階でリスクを予測し、対策を講じることで、仕上がりの品質を守ることができます。

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キズやコスレが目立つデザインの特徴

キズや擦れが目立ちやすいデザインには、いくつか共通する特徴があります

  • 全面真っ黒のデザイン

均一に黒で塗りつぶされたデザインは、少しのキズや擦れでも目立ちやすくなります。また、光の加減によってキズが浮き出るように見えるため、特に注意が必要です

  • 濃色や単色ベタのデザイン

黒を含む濃い色や単色ベタ(全面塗りつぶし)のデザインは、全体の濃度差が少ないため、わずかなキズや擦れでも目立つ傾向があります。

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キズが目立ちにくいデザインの特徴

一方、キズが目立ちにくく、比較的安心して使用できるデザインもあります。

  • 薄いトーンの写真やイラスト

明るく淡いトーンのデザインは、キズが背景に馴染みやすく、目立ちにくい特徴があります。

  • にぎやかなデザインや多彩なパターン

いろいろな画像やパターンが組み合わさったデザインは、全体に動きがあるため、キズがデザインの一部として溶け込みやすく、目立ちにくくなります。一方で、シンプルな平網やベタ塗りのデザインはキズが目立ちやすいので注意が必要です。

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事前の予測が重要

製本工程でキズが目立つリスクを防ぐためには、デザイン段階で以下のポイントを意識することが大切です:

  • キズが目立つデザインかどうかを予測する

表紙の色合いや構成を確認し、摩擦や接触で影響を受けやすい箇所を特定します。

  • キズが入りやすい場合は対策を講じる

リスクが予想される場合、適切な対策を講じることが重要です。

たとえキズが入りやすいデザインでも大丈夫です!

「このデザインだとキズが目立ちやすいかもしれない」と不安に感じた場合でもご安心ください。
スバルグラフィックでは、以下の2つの方法でしっかりと対応し、問題を解決します。

  1. キズに強いPPフィルムを使用して表紙を保護する
  2. 製本工程でキズがつきにくい工夫を施す

これらの対策を事前に行うことで、表紙の品質を守り、美しく仕上げることが可能です。次のセクションでは、それぞれの対策について具体的にご説明します。

キズに強いPPフィルムを選択する

製本工程での表紙のキズや擦れを防ぐために、耐摩耗性に優れたPPフィルムを使用することは非常に効果的な方法です。以下では、具体的なフィルムの種類とその特徴をご紹介します。

グロスPPの場合 『Aスクラッチグロス』

高い耐摩耗性を持ち、ほとんどキズが目立ちません。

グロスPPは光沢のある仕上がりですが、光の加減で小さなキズが目立ちやすいという欠点があります。
しかし、Aスクラッチグロスはこの問題を大幅に改善しています。

マットPPの場合 『Jスクラッチマット』

耐摩耗性(表面の磨耗への耐性)と耐擦過性(摩擦による表面変化への耐性)が強化されています。

通常、マットはベルトなどによる摩擦痕が目立ちやすいですが、Jスクラッチマットではそれがほとんど見えなくなります。

人気のPP『ベルベットフィルム』

ソフトタッチで滑らかな触り心地が特徴のフィルムです。

• キズや擦れが目立ちにくい特性を持っており、シルキーでベルベットのような質感を持ち、見た目と手触りの両方で高い評価を得ています。

耐摩耗性PPを選択する際に考慮すべきポイント

コストの増加

耐摩耗性PPフィルムは通常のPPフィルムよりも高性能であるため、その分コストが増加します。

  • Aスクラッチグロス(グロス耐摩PP): 通常のグロスPPの約5倍のコスト
  • Jスクラッチマット(マット耐摩PP): 通常のマットPPの約2.5倍のコスト

• 工程への影響

耐摩耗性PPフィルムの使用により、表紙の加工工程における調整が必要となる場合があります。これにより、生産スケジュールに多少の余裕を持たせることが求められることもあります。

製本工程でキズがつきにくい工夫を行う

製本工程での表紙のキズ問題は、ローラーやベルトとの摩擦が主な原因ですが、それを完全に防ぐ方法として「捨て紙」を活用する方法があります。このテクニックは中綴じと並製本でそれぞれ異なる方法で行われます。以下に具体的なやり方を紹介します。

中綴じの場合:2つ折りの捨て紙で保護する方法

中綴じの手順

  1. 2つ折りの捨て紙を準備する
    捨て紙はコピー用紙のような薄い紙でも十分効果があります。
  2. 捨て紙を表紙の外側に配置して製本を行う
    表紙の外側を覆うように2つ折りにした捨て紙をセットし、そのまま中綴じの製本工程を実行します。
  3. 製本後、捨て紙を剥がす
    綴じ終えた後に、捨て紙を引っ張って丁寧に剥がします。これにより、製本中の摩擦から表紙を保護し、美しい仕上がりが得られます。

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並製本の場合:天のり加工で表紙を保護する方法

並製本の手順

  1. 表紙と同じサイズの捨て紙を準備
    表紙と同じ寸法の捨て紙を用意します。捨て紙はコピー用紙のような薄い紙でも十分効果があります。
  2. 捨て紙に剥離ニスを印刷
    捨て紙の天糊する部分(約10mm幅)にあらかじめ剥離ニスを印刷します。
    重要ポイント: 無線綴じの工程では、捨て紙と表紙が「セット(ニコイチ)」になってフィーダから送られる必要があります。剥離ニスは、次の捨て紙が天糊部分で表紙にくっついたままフィーダに引き込まれないようにする役割を果たします。
    剥離ニスの効果で、捨て紙は表紙からスムーズに分離され、製本機の動作が正常に保たれます。
  3. 表紙の袋になる側面を天糊加工する
    捨て紙と表紙の袋になる側面を天糊加工します。この工程により、捨て紙が表紙をしっかりと包み、製本中の摩擦から表紙を保護します。
  4. 三方断裁で分離する
     製本が完了した後、三方断裁で捨て紙が分離され、表紙がきれいな状態で仕上がります。

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捨て紙を活用した対策で考慮すべきポイント

コストの増加

捨て紙を使用する工程が加わるため、製本代が通常の約1.5倍から2倍になる場合があります。これは、より高い品質を実現するための投資と考えられます。

スケジュール調整が必要

捨て紙を使用することで工程が増えるため、通常よりも製本に時間がかかります。そのため、生産スケジュールには十分な余裕を持つことが重要です。

表紙のキズや擦れを防ぐための品質対策の価値

耐摩耗性PPフィルムの使用や捨て紙を活用した製本方法は、コストや納期の増加を伴います。しかし、これらは品質を守り、製品の信頼性を高めるための重要な投資です。表紙にキズや擦れがあると、製品全体の印象が損なわれるだけでなく、クレームや返品のリスクも増えます。一方、これらの対策を講じることで、美しい仕上がりが実現し、顧客満足度とブランド価値の向上につながります。コストアップやスケジュールの調整が必要でも、それを上回る品質の向上が得られることから、長期的な視点で見ればこれらの対策には十分な意味があります。

スバルグラフィックのサポートとご提案

表紙のキズや擦れを防ぐための対策は、単なる品質管理ではなく、お客様が目指す製品の完成度を高めるための重要なステップです。当社では、耐摩耗性PPフィルムの使用や捨て紙を活用した製本方法など、状況やニーズに応じた具体的な解決策をご提案いたします。

「製品の完成度を守りたい」「デザインに妥協したくない」といった思いをお持ちであれば、ぜひご相談ください。お客様と一緒に、最適な製品づくりのフローを構築し、理想のイメージを形にしていきます。